『フリー・ゾーン』(アモス・ギタイ)

有楽町朝日ホールにて。第6回東京フィルメックス・特別招待作品の1本。3人の女性が車で移動するロードムーヴィー。イスラエルからヨルダンに入る国境の検問所の場面だとか、パレスチナ人女性とイスラエル人女性がお金のことで言い争いをする「フリー・ゾーン」の事務所の場面、火事の翌朝パレスチナ人の男性がナタリー・ポートマンと話をするその後ろを羊たちが動くさまなど、個々のシーンやショットはとてもいいのですけれど、決定的な瞬間に欠けるとでも言いましょうか、アメリカ人・イスラエル人・パレスチナ人が同じ車に乗るという設定から想像できる物語の範囲内にきれいに収まっていて、決して悪い映画ではないのですが格別驚きも衝撃も感じませんでした。例えばラストの国境検問所でナタリー・ポートマンが突然車から飛び出して走り去る場面、あれはああいう走り方でよかったのでしょうか。
とはいえギタイの映画はまだ4、5本しか観ていませんので、この先もう少し観ると違う感想になってくるかもしれません。