『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』(マイク・ニューウェル)

新宿ピカデリー1にて。「ハリー・ポッター」シリーズはこれまですべて映画館で観ていますが、シリーズものを観る楽しみ(キャラクターの継承と発展、前作への批評意識)の非常に希薄なこの連作にはそろそろ飽き飽きし始めていて、とは言いながら、今回も何についての映画やらさっぱりわからぬまま、それでも退屈せずに最後まで観てしまうのでした。「三大魔法学校対抗試合」が主眼であるにもかかわらず、試合そのものの描写はそれほど長くなく、そもそも最初の課題でハリー(ダニエル・ラドクリフ)が闘ったドラゴンはあそこに激突して気絶したということなのでしょうか、そのあたりも判然としないままに、課題はクリアされてしまいます。舞踏会の場面にしてもダンスそのものの印象より会場の隅の方で所在なげに座り込むダニエル・ラドクリフルパート・グリントの姿ばかりが記憶に強く残っています。このふたりとエマ・ワトソンの3人の友情の行方が今作の一番の見どころなのでしょうが、どこかしっくりせずギスギスしたまま終わります。今回はさらに、ヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)が初めて姿を現してダニエル・ラドクリフと対決するわけですが、ラドクリフがなぜ逃げることができたのかもよくわかりませんでした(両親の霊が助けてくれた?)。原作を読んでいればすべて腑に落ちるということなのか、となればこれらの映画は原作小説のための長い長いコマーシャルなのでしょうか、すでにあれだけのベストセラーだというのに、これ以上売るつもりなのでしょうか、いやはや。
(1/9記)