『弁護士のくず』

最近はテレビばかり見ています。今のクールはこれまでの人生で一番たくさんテレビを見ているかもしれません。こうして決まった番組を毎週毎週見ていると、それぞれの曜日にメリハリが出てきて生活にリズムが生まれ、これはこれで楽しく一週間を過ごせます。
弁護士のくず』は初回から見ているわけではないのですが、丁寧な作りがとても好ましいです。少なくとも『トップキャスター』よりはしっかりと作られています。さすがは貴島誠一郎プロデュース作品です。これは先週のエピソードですが、実の父親と対面して現実の厳しさを目の当たりにした少女が、その場から逃げ出して港町を走り、彼女のあとを豊川悦司がゆったりとした走りで追いかけるという場面など、ありきたりではありますがとても美しかったと思います。
トップキャスター』を引き合いに出したのには理由があって、このふたつのドラマの物語は非常によく似た構造を持っています。主人公(30代後半から40代前半)は共同体から浮いた存在であり、副主人公(20代中盤)は周囲に波風を立てる言動を繰り返す主人公に表向き反発しつつも、心のどこかで敬意を抱いていて、彼(彼女)から学び成長していく、というわけです。テレビにおいては昔も今もこの種の成長の物語が好まれるようですが、年長者が教育し若者が教育される、そして視聴者もまたそれぞれ自分の年齢に対応する役柄に自らを投影しつつカタルシスを得る、そんな図を思い浮かべると、どうもむずがゆい気持ちになってしまいます。