『サンダーボルト』(マイケル・チミノ)

DVDで。今回が初めて。とてもおもしろかったのですが、この魅力をどう言い表したらいいものか、正直よくわかりません。
前半のだらだらした展開は後半との対照で生きてきます。終盤の展開にほとんど奉仕しない細部が数多くあり、ジェフ・ブリッジスジョージ・ケネディらの間の抜けたたたずまいともども、なんとも好ましいです。
「映画」にまつわる細部が多く含まれているのも特徴的です。イーストウッドたちは銀行強盗の後ドライブイン・シアターにもぐり込んで警察をやり過ごすのですが、ここに限らず、例えばイーストウッドジョージ・ケネディが銀行の金庫の壁に向けてキャノン砲を設置するところなど、学生のころ8mmフィルムの映写機をスクリーンに向けて据え付けた時の感覚を思い出させられました。物語の最後、主人公たちは以前隠したまま行方不明になっていたお金を偶然発見するのですが、その隠し場所とは小学校の教室の黒板を外した後ろの空間であり、そして教室と黒板とはまさに映画館とスクリーンなのです。
イーストウッドジェフ・ブリッジスジョージ・ケネディが交錯する冒頭のシーン、終盤でジョージ・ケネディが車で逃げる場面などはとても美しかったと思います。そう言えばこの作品に出てくる乗り物はどれも大変魅力的なのでした。アイスクリーム販売のミニカー、川船、トラック、そして数々の車…イカれたお兄さんの運転する、トランクにウサギをたくさん詰め込んだ車、なんていうのもありましたね。