『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(ヴィム・ヴェンダース)

DVDで。「音楽映画ミニ特集」6本め、最後の作品です。
ライ・クーダーの(そしてヴィム・ヴェンダースの)キューバへの旅を描いた作品で、これもまた一種のロードムーヴィーです。キューバの伝説的なミュージシャンたちを探す過程は、空間的な旅であると同時に時間的な旅でもあります。時が止まったかに見えるキューバの街のなかにふと迷い込んだかのような、さまよう視線としてのキャメラが作品を特徴づけています。あるいはそれは、家々の戸口の前で寝そべっている犬たちの視線なのかもしれません。ライ・クーダーの旅は逆にキューバのミュージシャンたちをアムステルダム、そしてニューヨークへの旅に誘い出しもするわけで、今度は彼らがニューヨークの街をさまようというラストの展開はとても面白いです。多くの人びとにすっかり忘れ去られていた「失われた人びと」である彼ら高齢のミュージシャンたちが、記憶=時間の彼方からニューヨークにひょっこりとやってくる…
ちなみに写真は映画とは全然関係なくて、沖縄の国道58号線を撮ったものです。