『ジェリー』

吉祥寺バウスシアターboid presents爆音レイトで『ジェリー』(ガス・ヴァン・サント)。ロードショー公開時に観逃していたので今日が初めて。『エレファント』もいい映画でしたけど、『ジェリー』の方がずっといい。これは爆音上映ならではなのですが、後半のほとんど亡霊と化した主人公ふたりが砂漠を歩くときの足を引きずる音、それに重なるように鳴り響く重低音が身体にじかに触れてくるようで、シネスコ画面が映し出す果てしなく広がる荒野の映像と共に、時空間の感覚がおかしくなってきて、主人公たち同様にどんどん方向感覚が失われていくのを感じるのです。そして100分の上映時間があっという間に過ぎてしまう。短すぎです。
ところで、『ジェリー』は確かにすごかったけど、わたしにとってのガス・ヴァン・サントのベストはやっぱり『小説家を見つけたら』です。ああいう題材を演出するときのガス・ヴァン・サントにはアメリカ映画の良質な部分がとてもよく出ていると思うんですが、もうメジャー系の作品は撮らないのかなぁ。