『シンデレラマン』(ロン・ハワード)

新宿ピカデリー1にて。観ようと思っていた『チャーリーとチョコレート工場』(ティム・バートン)が立ち見だったため、急遽これに変更。こちらも公開直後ということで、結構入っていました。
わたし、この映画は好きです。好きなのですが、144分は少々長過ぎます。切るべきシーンがいくつかありました。しかしそれでもこれはいい映画です。アイリッシュの物語というだけでとても気になってしまうのは、観ているこちらにジョン・フォードの記憶があるからなのでしょう。もうひとつ、このフィルムは「家に帰る」ことをめぐる物語でもあります。
ラッセル・クロウはタイトル戦の前に対戦相手の試合を撮影したフィルム(サイレント)を観させられるのですが、無自覚に観られていた時代から、観られなくなってしまった不遇の時代を経て、視線を集める訓練を積み、映画を観ることを通して観られることの倫理を学んで、最終的にはより一層の視線を集めるに至った男の物語であり、つまりは映画についての映画であると言えば、いささかできすぎになるでしょうか。