『ザ・フォッグ』(ジョン・カーペンター)

DVDで。『遊星からの物体X』以上に『遊星よりの物体X』(クリスチャン・ナイビー)的な作品。ラストでエイドリアン・バーボーがラジオを通して呼びかける「霧に気をつけて」という言葉は、『遊星よりの物体X』の有名なセリフ、‘Watch the sky. Keep watching the sky!'を連想させます。ところで、この作品にも「発光するもの」が出てきます。言うまでもなく「霧」がそれであり、終盤では金の十字架も強烈な光を放ちます。一方でヴィジュアル的なインパクトに無反省に寄りかかった「ありがち」な描写に過ぎないようにも見えるこれら「発光するもの」が*1、他方では「映画」の隠喩として物語をメタレベルに押し上げる起点にもなっているわけで、映画の記憶に深く規定された作家であるジョン・カーペンターは、そのことにとても意識的なはずです。

*1:何でもいいから何か光らせておけば、非日常的なおそろしいこと、超常現象的なことが起こっているっぽく見える、というわけです。