『ビバリーヒルズ・コップ2』(トニー・スコット)

DVDで。公開時に観て以来、実に18年ぶり。ちなみにその当時、わたしは高校生でした。
いい加減なことをまくし立てつつ、ルール無用の強引さで捜査を進めていくエディ・マーフィの主人公は終始無傷で、というかロニー・コックス演ずる老刑事が最初の方でブリジット・ニールセンに撃たれるのを除いては、「味方」の人間はいっさい怪我を負うことなく*1事件の解決に至るわけで、こうした反リアリズム的展開が作品に爽快さをもたらしているかと言えば、それには逆にもう少し脚本上の緻密さが必要だとは思うものの、まあこれはこれでいいのではないでしょうか。それにしても終盤に競馬場のシーンを持ってきて、レース場面と強盗シーンをカットバックするあたりは悪くないですし、それに続く銃撃戦の舞台となる、競馬場の裏手にある油田とそこに建つプレハブ小屋も、クライマックスにふさわしい空間となっていて、中でもエディ・マーフィが小屋の中でユルゲン・プロフノウと対決するシーンで、地面に落ちる影で屋根の上の狙撃者に気づきすかさず撃ち殺すところや、車で突進してくるユルゲン・プロフノウをフロントガラスごしにたった1発の銃弾で仕留めてしまうあたり、活劇作家トニー・スコットの才能が如実に表れています。その後、地面に倒れ伏したエディ・マーフィに向けてブリジット・ニールセンが銃を構えるショット、逆光を浴びて小屋の戸口に仁王立ちになるニールセンの姿と、その後ろで動く巨大な石油採掘機、そして緩やかに駆ける数頭の馬が、実に美しいのでした。この一連のシークエンスは本当に充実していてすばらしかったです。
(11/1 一部修正しました。)

*1:デトロイト警察の相方はラストで脚を骨折していますが、これは本筋の事件とは関係ありません。