『呪怨 パンデミック』(清水崇)

池袋シネマサンシャインにて。複数のエピソードを、時制の前後を明確にせず、意図的に混乱させるようにして語る清水崇独特の話法も、ここまで繰り返し使われると逆にネタバレみたいなもので、最初の30分ぐらいでどんな話がだいたいわかってしまいます。さすがに次あたりからは変えた方がいいかもしれません(よけいなお世話ですけど)。
今回気になったのがあの「家」の内部で、ハリウッド版第1作の時は日本版より広く造られていたと思うのですが、今回また日本版の狭さに戻ったように感じられました。気のせいでしょうか。ただし今回は「家」の内部をじっくり撮ることには重点が置かれていないようで、おそらくあの「家」自体は日本版も含めて十分見せたので、いわばシリーズものの「お約束」のような位置づけとして、繰り返し描くことはしなかったのかもしれません。ともあれ、日本版のあの「家」の空間性、ことに玄関から2階にあがるあの階段をめぐる一連のショットを見ればわかるように、この作家の空間構築はとても映画的で、空間のないところに空間を生み出すような感覚といえばいいのか、今回で言うとジェニファー・ビールスたちの住むマンションだったり、エディソン・チャンの部屋だったりが持つ空間性は、やはり非常におもしろく感じられました。そして清水崇作品に登場する「幽霊」もまた、この空間性から必然的に導き出された存在なのだと思います。