『ファイナル・デッドサーキット』(デヴィッド・R・エリス)

DVDで。3回目。
82分という上映時間からもわかるように、語りの経済性が突き詰められており、特に冒頭のサーキット場の惨劇に至るまでのタイトな構成・演出が実に素晴らしいです。シリーズものならではのスピード感で導入部の説明をすっ飛ばし簡潔にまとめてみせる、その語り口の美しさ。登場人物ひとりひとりの背景を丁寧に描くなど無駄なことで、というのもどうせすぐ死んでしまうのであって、ここでは死に至るヴァリエーションだけが重要なのです。時間をかけて思わせぶりに配置した死の装置がすべて不発に終わり、ほっとひと息ついたところでシーン冒頭の伏線を暴力的に回収してみせたり、時にはなんの伏線もなく唐突に殺してみたりと、緩急つけた手さばきの巧みさに眼を奪われているうちに、気づくと映画は終わっています。